幸草紙工房

 加納さんの漉く和紙は、楮や雁皮を主体原料として作り上げるために画仙紙とは違う滲みを表現できる。例えば、雁皮の和紙は非常に強靭なために、筆の代わりに葛の根の先を砕いて筆状にしたもので書いても紙が破れる事はない。
 また、楮の紙はその繊維が長く美しいため、例えば書家が筆を入れれば、墨が繊維の1本1本に添って滲んで行く様子が見て取れる程である。これが書道用用紙として最高な紙を作りたいという加納さんの真骨頂とも云えるであろう。
 それを裏付けているのが、保木工房の保木さんと一緒に行っている和紙の原料となる里山での楮栽培への取り組みや、昔ながらの手作業による紙漉工法の復活などの丁寧な和紙づくりへの姿勢そのもの。「書道用紙にとって最適な方法を模索して行ったら、昔のやり方に帰っていった」という彼の言葉には説得力がある。
 さらに加納さんは、楮以外にも藁などの植物繊維を利用した和紙も製造する。楮、雁皮、三椏以外の原料の利用も加納さんの目指す書家用の紙の完成度を高めるためだ。中国で生産される画仙紙には竹が原料として使われるが、これも独特の墨のにじみを出すために利用されている。(文:家田学)

→幸草紙工房が漉く和紙(プロダクツの手漉き和紙のページへ)

<幸草紙工房 Profile>

加納 武
岐阜県美濃市出身
騨国際工芸学園木工科卒業
1998年に美濃手漉き和紙基礎スクールを修了
1998年から3年間 美濃和紙の里会館で実習勤務
美濃手漉き和紙の伝統工芸士である後藤茂氏に学ぶ。
2003年に幸草紙工房を立ち上げて独立し現在に至る。

最近の作品

書画用楮紙、書画用雁皮紙

私の考える「美濃和紙」

 紙漉の家に生まれ、嫁ぎ先もまた紙漉きの家だった私の祖母は、私がこの仕事を始めようとしたとき、ずいぶん心配してくれました。それほど昔の紙漉きは仕事に追われ、毎日朝早くから晩遅くまで、働きづめに働いたそうです。今は機械でロール巻きになってでてくる障子紙も、祖母の時代は一枚一枚手で漉き、それを親方に安い値で買い叩かれていました。そういった制度や機械和紙の出現によって、衰退の一途を辿ってきた紙漉きは、みんなから嫌われた仕事だったと、よく私に語って聞かせてくれました。
 安く上質の紙を全国に流通し、美濃紙の名声を高めたのは、何にもまして、当時の紙漉きの人たちのたわまぬ努力にもたらされた、いわば財産です。今まで数知れない職人の手によって漉き継がれてきた美濃紙は、現在でも文化財修理など、目には見えないところで、熟練の表具師さんの手によって使われています。また、あかりやちぎり絵等、装飾的な数々の和紙も新しく生み出され、現代の需要に幅広く応えています。
 私は後藤茂さんのお宅で薄美濃紙の研修をしていましたが、ここでは生活と仕事が離れていないことを知りました。ただ淡々と仕事をする毎日の生活の中から、上質の薄美濃紙は生まれてきます。私たちは昔の人たちが脈々と受け継いできたものをしっかりと継承し、さらに良い方向への枝葉を広げてゆくことに全力を注いでいます。そして昔の紙漉きの持つくらいイメージを、一掃したいというのが私の願いです。

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