→【1】手漉き和紙(雁皮紙)づくり
→【2】手漉き和紙(雁皮紙)への絵付け〜シルクスクリーン印刷
★【3】竹骨づくりからうちわ貼り
→【4】最後の仕上げ:ニス塗り〜天日干し
1)あらかじめ竹をうちわに適した長さ切断したものに(この作業を「竹挽」(たけひき)と言います)、水に含ませた(「水かし」)竹の管(くだ)を、うちわに適した一定の幅に割ります。まっすぐ割れる竹の性質を利用した技です。さらに「ふしはだけ」では、内側の節をシャキシャキと削り取る。この作業から手に持った時の心地よい感触が生まれます。
2)「割き機(わきき)」と呼ばれる道具を利用して、穂先より約10cmのところまですごいスピードで切り込みを入れます(「割(わき)」と「もみ」)。穂の数は35〜45本にもなるそうですが、同じ間隔で裂いていきます。目にも止まらぬ早業で、熟練した職人になると1日500〜800本もこなしているそうです。感動の一瞬。
3)すべてに約0.5mm間隔の「穂」が入っている骨。勿論、丸亀竹うちわ職人としての浅野さんの見事な職人技、手仕事(手を動かすリズムで幅を調整するそう)。その見事さ、美しさ!!
4)鎌(弓竹)を編み台に乗せて骨の柄(え)に通します(鎌を通す小さな穴はあらかじめ開けておきます。その時その他の部分も小刀で削り加工をしておきます)。
5)鎌(弓竹)を通した穂を糸で編んでいく作業(「編み」)。昔は、主に女性の仕事で、子供も手伝っていたという。慣れた手つきで器用に編みます。こちらも滑らかなスピードです。うちわの形が見えてきました。
6)編んだうちわ骨の鎌(弓竹)に形をつけ、寸棒という道具(これも竹で出来ています。細長い矢印のような形をしていて可愛い!)編みのいびつさを直しながら、左右対称になるように糸をとじつけていきます。簡単そうに見えるのですが、昔は「付師」ともいわれた専門職人もいたという、年季のいる作業。竹のしなやかな弾力性が実感できます。以上で『骨づくり』の工程は終了。
7)いよいようちわに和紙を貼る、「貼り」の工程です。まず先にのり板と呼ばれる作業台の上に、糊を刷毛で均等に塗ります。
8)「水うちわ」に使用する美濃手漉き和紙(雁皮紙)は、うちわに使用する和紙よりも薄いので通常の工程より気を使います。そこで、先にのり板台の上でうちわ骨の穂に糊を染み込ませたものを、タオルの上に置いた2枚の和紙にずれないようそっと重ねます。(「水うちわ」は、岐阜の家田紙工より届けられた、既に絵柄が描かれている和紙を使用します)
9)薄い「水うちわ」の表面和紙が傷つかないように「あて紙」を載せ、たわし掛けをしながら空気を抜きつつ、丁寧に貼りつけていきます。この作業を「貼立(はりたて)」と呼びます。
10)そっとあて紙を剥がし、和紙にヨレがないか、空気が入っていないかなどを確認しながら手で丁寧に調整します。透けている「水うちわ」は、空気などの残りが見えるので特に注意を払います。
11)「干し枠(ほしわく)」と呼ばれる、うちわ専用の木枠でうちわを乾かします。
■その後、満月、玉子型などうちわの種類に応じて穂を切断して仕上げます。この作業は、「たたき鎌」という特殊な道具を当て、木づちでたたいて枠を切断していくため、「たたき」とも呼ばれます。その後は、へりまき・みみぎぼし貼りなどを経て「貼り」の工程はほぼ終了! 「水うちわ」は、この後ニスを塗る工程が加わるため、うちわ職人の仕事はここまでになります。 こうしてうちわ貼りまでの工程をすべて終えたうちわが、再び岐阜の家田紙工の工房に届けられ、最後の仕上げに向かいます。