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水うちわ復活のストーリー

 その透明な美しさに、誰もが「これが和紙?」との驚きの声を上げる「水うちわ」。いつの間にか「幻の水うちわ」と呼ばれるようになったのは理由があります。
 それは近年、水うちわの制作に最も重要な、薄くて強い本物の「雁皮紙」が、ほとんど作られなくなってしまったからです。
 その理由は、かつての雁皮紙の主要用途であった「謄写版」または「ガリ版」と呼ばれた印刷機で使用される「ガリ版原紙」としての需要がなくなったこと、そして何より、雁皮紙が漉き手泣かせな紙と呼ばれる程、制作するのが難しい紙だからです。
 そんな中、平成15年から岐阜市の施策の一環として、「岐阜の埋もれた宝を再発見しよう」という主旨での「スローライフ運動」が始まりました。そこで地元の若者から「水うちわを復活させたい」という声が上がり、「岐阜市スローライフ推進実行委員会」のメンバーでもあった家田紙工の商品ディレクター・古田菜穂子の元にもその声が届きました。
 古田は、「水うちわ復活の鍵は、素材である極上の雁皮紙の再生」という家田紙工の家田学に相談し、家田紙工のプロデュースで、綿密な仕事で定評のある美濃の若手手漉き職人ユニット「コルソヤード(Corsoyard)」に「雁皮紙の再生」が委ねられました。  コルソヤードは、彼らの師匠である美濃和紙の伝統工芸士たちに、かつての「薄くて強い雁皮紙を漉き上げる技」について尋ねながら試行錯誤を繰り返し、約1年後、岐阜の団扇職人の協力も得て、プロトタイプとしての「水うちわ」が完成しました。そうして第一期「水うちわ」が完成しましたが、家田紙工はさらに完成度を高める努力をしました。
 そもそも「水うちわ」は、透け感が大きな特徴ですが、それを引き立てるのがうちわに描かれる絵柄の表情です。家田紙工には、明治時代から続く岐阜提灯の絵付け技術と、絵柄デザインのストックがあります。
 「提灯絵」と呼ばれるそれは、薄い和紙に描かれ、光を透過した時にこそ最も絵柄が美しく見えるよう、さまざまな工夫がされ、その技術こそが伝統職人の技として脈々と受け継がれてきたものです。
 こうして絵柄毎に提灯絵に使用される伝統的な「摺り込み」や「付き判」、「ステンシル」などさまざまな技法を凝らした「うちわ絵」が、一枚、一枚、絵付け職人の手でつけられました。
 さらに100%オーガニックの安心、安全な「水うちわ」を目指して、仕上げとしてのニスにも徹底的にこだわりました。

 こうして約3年の年月をかけて完成した、現在の家田紙工のオリジナル水うちわは、当然ながら100%天然素材の美濃手漉き和紙を使用し、うちわ貼り、絵付け、ニス塗りまで、すべての工程を日本の職人が一本、一本,丁寧に手作りした本物の、極上「水うちわ」です。
 いずれも美濃の手漉き和紙、香川の竹林、長良川の鵜飼など、岐阜ならではの豊かな川文化と職人の技から生まれた賜物です。

(文責 古田菜穂子)

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